逆子
胎児は妊娠後期(28週以降)には、頭が恥骨の方にあって臀部・足が上腹部にあります(頭位)。
しかし頭が上腹部にあったり(骨盤位)、おへその横にある(横位)の場合には、一般的に逆子と言われ
分娩時間が遷延するなど母子ともに危険な状態となることがあります。



『病気がみえる 産科』から抜粋
胎児は妊娠の早い時期から子宮の中で自己回転していますが、28週頃になると頭位で安定してきます。
しかしその時期(28週以降)に逆子である場合には、早めの鍼灸治療をオススメします。
逆子の鍼灸治療の安全性
逆子の鍼灸治療について、流産などの重篤な有害事象の報告はありません。
歴史的には、「妊娠中の鍼灸治療は禁忌」とされていましたが、その根拠も明確になっていません。
『逆子の鍼灸治療』(医歯薬出版株式会社)の中でも述べられている通り
中国では、300例の妊婦に中絶目的で古来妊娠中に禁忌とされているツボに治療を行ったところ、
1例も流産させることができず、「妊娠に対しても無害で・・(中略)・・禁鍼(鍼をしてはいけない)説
も信頼できない」と報告しています。
他にも50例の妊婦に中絶目的で鍼治療を行ったところ、「妊娠中の鍼治療はほとんど胎児に問題ない」
という結論に至りました。

オーストラリアの妊娠初期のつわりに関する論文では
①伝統中医学的鍼灸治療、②内関穴(つわりの特効穴)、
③ツボでない部位、④無治療の4群にわけて
治療したところ、自然流産、死産、新生児死亡、また、
妊娠合併症に4群間で差はないと報告しています。
鍼治療は妊娠初期の女性に対する治療の選択肢として、
出産異常に影響しない安全な方法であるという結論付けて
います。
鍼灸治療の逆子矯正率
鍼灸治療の逆子矯正率は、およそ8割です。
しかし、32週以降に治療を開始すると、その矯正率は6~7割に減少します。
このため、28週の妊婦検診以降で逆子を指摘された時には、できるだけ早い治療をオススメします。

出産への緊張から腹部が緊張し、
そのことが原因で逆子が返りにくいこともあります。
鍼灸治療でその緊張を緩めると、自然と返りやすくなります。
しかしながら、多胎妊娠・双角子宮・子宮筋腫・羊水過少・ 臍帯長が短い・臍帯巻絡・前置胎盤などがある方は、
逆子は返りにくくなる傾向にあります。
逆子の鍼灸治療

当院ではエコーで胎児の向きを確認してから治療を行います。
逆子が治っている可能性が高い場合には
逆子の治療をせずにお帰りいただくか
希望があればその他の不定愁訴の治療を行います。
当院で使用しているエコー→
全身を診察したのち、足・腰殿部を中心に治療をいたします。
特に足の内側にある「三陰交」と、足の小指の先にある「至陰」という
2つのツボは外せない治療のポイントです。ここにお灸の刺激を行います。


治療が終了したのちは、セルフケアとして自宅でのお灸もオススメしています。
やり方はスタッフがご説明いたします。
逆子は診断されてから、日数が経ってしまうと返りにくくなり、
週数が進むほど矯正率が悪くなります。
このため病院で逆子と診断されてからすぐに鍼灸治療をすることをオススメします。
通院が可能な方は初回から3日連続で治療を行います。
もし難しい方は週に2回ほど来ていただけると効果的です。
通院頻度は患者様の様子や状況に合わせて相談させていただきますので、遠慮なくご相談ください。
