年齢とともに気になり始める卵子の老化は、不妊の一因となる可能性があります。
しかし、卵子の老化には決まった症状がなく、自分では気づきにくいのが実情です。
この記事では、卵子老化のサインとして考えられる体の変化をセルフチェック形式で解説し、妊娠への影響や今日から始められる対策を紹介します。
体の変化に気づき、適切な対策を講じることで、将来の妊娠に備えることができます。
まず知っておきたい卵子の老化とは?
卵子の老化とは、加齢に伴い卵子の数が減少し、質が低下する現象を指します。
女性が生まれ持つ卵子の数は決まっており、新たに作られることはありません。
年齢を重ねるごとにその数は減り続け、同時に卵子自体の質も変化していきます。
これにより、受精や着床がしにくくなるなど、妊娠する能力に影響が現れ始めます。
この変化は誰にでも起こる自然な生命現象の一つです。
年齢とともに卵子の数は減少する
女性の卵子の数は、生まれたときが最も多く、その後は増えることなく減り続けます。
胎児の時点では約700万個ある卵子の元となる細胞は、出生時には約200万個に、初潮を迎える思春期には20〜30万個にまで減少します。
加齢とともにその数はさらに減少し、閉経時には1,000個程度になるといわれています。
排卵される卵子は生涯で400〜500個ほどで、それ以外の卵子は使われることなく体内に吸収されていきます。
この減少は自然な生理現象であり、止めることはできません。
卵子の質も徐々に低下していく
卵子の質の低下とは、卵子に含まれる染色体に異常が起こりやすくなることや、受精・発育する力が弱まることを意味します。
卵子は体の他の細胞と異なり、新しく作られることはありません。
そのため、女性が年齢を重ねるのと同じだけ、卵子も歳をとります。
卵子を老化させる原因として、活性酸素による酸化ストレスが挙げられます。
長年にわたり体内で発生する活性酸素は卵子を傷つけ、細胞分裂の際に染色体異常を引き起こすリスクを高めます。
これが質の低下につながり、妊娠率の低下や流産率の上昇に関係します。
卵子の老化が本格的に始まるのは35歳頃から
卵子の老化は20代から少しずつ始まっていますが、その変化が顕著になるのは35歳頃からです。
35歳を過ぎると卵子の質の低下と数の減少が加速し、それに伴い自然妊娠する確率は低下し始め、流産率や染色体異常の発生率が上昇する傾向があります。
この年齢が妊娠を考える上での一つの節目とされるのは、こうした生物学的な変化が背景にあるためです。
もちろん個人差はありますが、一般的に35歳以降は卵巣機能の変化が妊娠のしやすさに大きく影響を及ぼす時期といえます。
【セルフチェック】卵子老化のサインとして現れる体の変化
卵子の老化に特有の自覚症状はありませんが、卵巣機能の低下に伴い、月経周期や経血量、基礎体温などに変化が現れることがあります。
これらの変化は、ホルモンバランスの乱れが原因で起こるものが多く、卵子の状態を間接的に推測する手がかりになります。
ここでは、卵子老化のサインとして考えられる体の変化をいくつか紹介します。
ご自身の体調と照らし合わせて確認してみてください。
生理周期が短くなる・乱れる
以前と比べて生理周期が短くなってきた場合、卵巣機能が低下しているサインかもしれません。
通常、生理周期は25〜38日程度が正常範囲とされますが、卵巣機能が低下すると、脳が卵胞を育てようとホルモン(FSH)を過剰に分泌することがあります。
その結果、卵胞が早く成熟してしまい、排卵までの期間が短縮され、生理周期が短くなる傾向が見られます。
逆に、排卵がスムーズに行われなくなることで、周期が長くなったり不規則になったりする場合もあります。
周期の変化が続くようであれば注意が必要です。
経血の量が減ってくる
経血の量が以前よりも明らかに減ったと感じる場合、女性ホルモンの分泌量が低下している可能性が考えられます。
子宮内膜は、卵胞から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)の働きによって厚くなりますが、卵巣機能が低下してエストロゲンの分泌が減ると、子宮内膜が十分に厚くならず、結果として経血量が減少します。
ナプキンを交換する回数が減ったり、生理期間が短くなったりといった変化も、卵巣機能の変化を示す一つのサインと捉えられます。
ただし、経血量は体調やストレスによっても変動するため、継続的な変化を見ることが重要です。
基礎体温の高温期が短くなる・不安定になる
基礎体温を測定している場合、高温期の変化に注目することで卵巣機能の状態を推測できます。
排卵後にはプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌され、体温が上昇して高温期が維持されます。
しかし、卵子の質の低下などにより黄体機能が低下すると、プロゲステロンの分泌が不十分になり、高温期が10日未満と短くなったり、体温が十分に上がらず不安定になったりすることがあります。
また、高温期と低温期の差が0.3度未満になるなど、体温の二相性がはっきりしなくなるのも、ホルモンバランスが乱れているサインの一つです。
月経前症候群(PMS)の症状が悪化する
イライラや気分の落ち込み、頭痛、腹痛といった月経前症候群(PMS)の症状が、以前よりも重くなったと感じる場合、背景にホルモンバランスの乱れが隠れている可能性があります。
卵巣機能が低下すると、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌バランスが不安定になります。
この急激なホルモン変動が、脳内の神経伝達物質に影響を与え、PMSのさまざまな精神的・身体的症状を悪化させる一因となり得ます。
PMSの悪化は、卵子の老化と直接結びつくわけではありませんが、体のホルモン環境が変化しているサインとして捉えることができます。
卵子の老化が妊娠に与える具体的な影響
卵子の老化は、妊娠の成立から出産に至るまでの各段階に影響を及ぼします。
卵子の質が低下すると、まず受精する能力そのものが弱まります。
無事に受精できたとしても、その後の細胞分裂がうまくいかず、子宮内膜に着床しにくくなることがあります。
また、着床して妊娠が成立した後も、受精卵の染色体異常が原因で流産に至るリスクが高まります。流産の9割は染色体異常によるものと言われています。
これらの影響は、年齢とともに顕著になる傾向があります。
受精する能力が低下する
卵子が老化すると、精子と結合して受精する能力そのものが低下します。
質の良い卵子は、精子を適切に受け入れ、受精を促すための機能が備わっています。
しかし、加齢などによって卵子の細胞質が変性したり、卵子を覆う透明帯が硬くなったりすると、精子が卵子の中に入り込みにくくなります。
その結果、タイミングを合わせて性交渉を持っても、受精に至る確率が下がってしまいます。
これは、体外受精において顕微授精が必要となるケースが増える一因でもあり、卵子の質の低下が受精プロセスに直接影響を及ぼすことを示しています。
受精卵が着床しにくくなる
卵子の老化は、たとえ受精が成功したとしても、その後の着床プロセスに影響を与えます。
質の低下した卵子は、受精後の細胞分裂を正常に進めるエネルギーが不足していることがあります。
その結果、胚(受精卵)の成長が途中で止まってしまったり、分割のスピードが遅くなったりして、良好な胚盤胞まで育たないケースが増加します。
子宮内膜に到達するまでに成長できなかったり、着床する力が弱かったりするため、妊娠率が低下する一因となります。受精卵側の問題が、着床を妨げる大きな要因となるのです。
流産のリスクが高まる
妊娠初期の流産の最も多い原因は、受精卵の染色体異常です。
卵子の老化が進むと、減数分裂という細胞分裂の過程で染色体が均等に分配されないエラーが起こりやすくなります。
染色体に異常を持つ受精卵は、多くが着床しなかったり、着床しても成長を続けることができずに、妊娠初期の段階で流産に至ります。
年齢とともに流産率が上昇するのは、この卵子の質の低下による染色体異常の発生率の増加が主な理由です。
特に35歳を過ぎると流産率は上昇傾向を示し、40代ではさらにそのリスクが高まります。
染色体異常の可能性が上昇する
卵子の老化が妊娠に与える最も大きな影響の一つが、受精卵の染色体異常の発生率が上昇することです。
卵子は女性が生まれたときから体内にあり、長期間にわたって細胞分裂が停止した状態にあります。
加齢とともにこの分裂を再開させる機能が衰えると、染色体を正しく分配するプロセスでエラーが生じやすくなります。
これにより、ダウン症候群などに代表されるトリソミーなど、染色体の本数に異常を持つ受精卵が形成される確率が高まります。
このリスクは母体の年齢に比例して上昇することが知られており、卵子の質の低下が直接的な原因と考えられています。
今日から始められる!卵子の老化を遅らせるための生活習慣
卵子の老化を完全に止めたり、若返らせたりすることはできませんが、その進行を緩やかにするために生活習慣を見直すことは可能です。
卵子の老化を防ぐには、体の酸化ストレスを減らし、血流を良くして卵巣に十分な栄養を届けることが基本となります。
食事や睡眠、運動といった日々の積み重ねが、卵子の質を健やかに保つことにつながります。
ここでは、今日から実践できる具体的な生活習慣を紹介します。
抗酸化作用のある栄養素を食事に取り入れる
卵子の老化の一因である酸化ストレスに対抗するため、抗酸化作用を持つ栄養素を積極的に摂取することが推奨されます。
ビタミンC(パプリカ、ブロッコリーなど)、ビタミンE(ナッツ類、アボカドなど)、β-カロテン(緑黄色野菜など)といったビタミン類は、体内の活性酸素を除去する働きがあります。
また、細胞のエネルギー産生を助けるコエンザイムQ10(青魚、肉類など)も、卵子の質の維持に役立つとされています。
これらの栄養素を特定の食品だけで補うのではなく、さまざまな食材を組み合わせたバランスの良い食事を心がけることが重要です。
体を冷やさない食生活を意識する
体が冷えると血行が悪化し、骨盤内の血流も滞りやすくなります。
その結果、卵巣に十分な酸素や栄養が届きにくくなり、卵巣機能の低下につながる可能性があります。
体を内側から温めるためには、冷たい飲み物や食べ物を避け、温かいスープや飲み物を日常的に取り入れることが有効です。
ショウガやネギ、根菜類など、体を温める作用のある食材を食事に加えるのも良い方法です。
また、精製された白砂糖は体を冷やす性質があるため、摂取を控えることも大切です。
日々の食生活で体を冷やさない工夫をすることが、健やかな卵巣環境を保つことにつながります。
禁煙を徹底しアルコールの摂取を控える
喫煙は卵子の質を著しく低下させる大きな要因です。
タバコに含まれる有害物質は卵巣の血流を悪化させるだけでなく、卵子に直接的なダメージを与え、卵子の数を減少させ、老化を早めることがわかっています。
受動喫煙でも同様のリスクがあるため、パートナーも含めて禁煙を徹底することが望ましいです。
また、アルコールの過剰な摂取もホルモンバランスを乱し、卵巣機能に悪影響を及ぼす可能性があります。
飲酒は完全に断つ必要はありませんが、適量を心がけ、休肝日を設けるなどの配慮が必要です。
喫煙や過度な飲酒は卵子を老化させる直接的なリスクとなります。
質の良い睡眠でホルモンバランスを整える
睡眠は、ホルモンバランスを整え、体の修復を行うために不可欠な時間です。
特に、睡眠中に分泌されるメラトニンや成長ホルモンは、卵子の質の維持に関わっています。
メラトニンは強力な抗酸化作用を持ち、卵子を酸化ストレスから守る働きがあります。
また、成長ホルモンは細胞の修復や再生を促します。
質の良い睡眠を確保するためには、毎日同じ時間に就寝・起床する、寝る前にスマートフォンやパソコンの画面を見ない、リラックスできる環境を整えるといった工夫が効果的です。
十分な睡眠時間を確保し、ホルモン分泌を整えることが卵巣機能の維持につながります。
適度な運動で血流を改善する
適度な運動は全身の血流を促進し、卵巣への血液供給を増やす効果が期待できます。
血流が改善されると、卵巣に新鮮な酸素と栄養が効率良く届けられ、卵子の発育環境が整います。
特に、ウォーキングやジョギング、ヨガなどの有酸素運動は、無理なく続けやすく、血行促進に効果的です。
激しすぎる運動はかえって体にストレスを与え、活性酸素を増やす原因にもなりかねないため、心地よいと感じる程度の強度で行うことが重要です。
日々の生活の中に運動習慣を取り入れ、骨盤周りの血流を良好に保つことを目指しましょう。
心身のストレスを上手に解消する
過度なストレスは、自律神経やホルモンバランスの乱れを引き起こし、卵巣機能に悪影響を与えることがあります。
ストレスを感じると、体は緊張状態となり血管が収縮するため、卵巣への血流が低下しやすくなります。
また、ストレスホルモンであるコルチゾールの過剰な分泌は、性ホルモンの分泌を抑制することも知られています。
自分に合ったストレス解消法を見つけ、心身をリラックスさせることが大切です。
食生活や運動について解説しましたが、気にしすぎて逆にストレスだと感じてしまっては元も子もありません。
過度の気にしすぎないよう、自分で徐々に調整するのが良いでしょう。
趣味に没頭する時間を作る、アロマテラピーを取り入れる、親しい人と話すなど、意識的にリフレッシュする時間を持つことが、ホルモンバランスを整え、卵巣機能を健やかに保つことにつながります。
卵子老化のサインに関するよくある質問
卵子の老化について、多くの方が抱く疑問に回答します。
老化が始まる具体的な年齢、サプリメントや漢方の効果、そして病院での検査方法など、気になるポイントをQ&A形式で簡潔にまとめました。
自身の体の状態を正しく理解し、今後の妊活やライフプランを考える上での参考にしてください。
卵子の老化は何歳から始まりますか?
卵子の老化は生まれたときから始まっており、20代後半から緩やかに質が低下します。
その変化は30代前半で少しずつ進み、特に35歳頃から質の低下と数の減少が加速する傾向があります。
ただし、生活習慣などにより個人差が大きいです。
卵子の質はサプリや漢方で改善できますか?
一度低下した卵子の質をサプリや漢方で若返らせることは困難です。
しかし、抗酸化作用のあるビタミンCやコエンザイムQ10などのサプリは、これから排卵される卵子の質の低下を緩やかにする補助的な役割が期待できます。
自分の卵子の状態を病院で調べることはできますか?
AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査で、卵巣内に残っている卵子の数の目安(卵巣予備能)を調べることが可能です。
この検査は血液検査で簡単に行えます。
ただし、AMHの値は卵子の質を直接示すものではない点に注意が必要です。
よくある質問
卵子の老化に関する質問は多岐にわたります。
例えば、男性側の加齢による影響や、卵子凍結保存の有効性なども関心の高いテーマです。
男性も加齢により精子の質が低下するため、不妊は女性だけの問題ではありません。
また、将来の妊娠に備えて若いうちに質の良い卵子を凍結保存しておく「卵子凍結」は、有効な選択肢の一つとされています。
自身の体の状態を知るとともに、幅広い知識を得ることが重要です。
まとめ
卵子の老化は、年齢とともに誰にでも起こる自然な現象であり、特定の自覚症状で判断することは困難です。
しかし、生理周期の乱れや経血量の変化などは、卵巣機能の変化を示す間接的なサインとなり得ます。
卵子の老化は妊娠率の低下や流産率の上昇に影響しますが、その進行速度は生活習慣によっても変わります。
バランスの取れた食事、適度な運動、質の良い睡眠、ストレス管理などを心がけることで、卵子の質の維持が期待できます。
体の変化に注意を払い、日々の生活を見直すことが、将来の妊娠に向けた準備となります。







