妊活中に多くの女性が悩まされる便秘は、直接的な不妊の原因とは断定できませんが、無視できない問題です。
腸内環境の悪化は、血流を通じて栄養の吸収や老廃物の排出に影響を及ぼし、結果として卵子の質にも関わると考えられています。
この記事では、妊活中の便秘がなぜ起こりやすいのか、そして薬に頼らずに実践できる安全な解消法について詳しく解説します。
妊活中のつらい便秘は妊娠の妨げになる?
便秘が直接的に不妊を引き起こすという医学的な証明は確立されていません。
しかし、慢性的な便秘は腸内に悪玉菌が増殖しやすい環境を作り出します。
増えた悪玉菌は有害物質を生成し、それが血流に乗って全身を巡ることで、子宮や卵巣の血行不良を招く可能性があります。
血行不良は、栄養が十分に行き渡らないことにつながり、卵子の質の低下や、受精卵が着床する子宮内膜の状態に悪影響を及ぼすことも考えられます。
また、便秘による腹部の張りや不快感は精神的なストレスとなり、ホルモンバランスを乱す一因にもなりかねません。
なぜ?妊活中に便秘になりやすくなる3つの理由
妊活中は、女性の体が妊娠に向けて変化する過程で、便秘になりやすい条件が重なります。
特に女性ホルモンのバランスの変化は腸の動きに大きく影響し、これに加えて妊活特有のストレスや、体の物理的な変化も原因として挙げられます。
ここでは、妊活中に便秘が起こりやすくなる主な3つの理由について具体的に説明します。
理由1:女性ホルモン「プロゲステロン」の分泌が増えるため
排卵後から次の生理までの期間(黄体期)は、女性ホルモンの一種である「プロゲステロン」の分泌が活発になります。
このホルモンは、妊娠を維持するために子宮の収縮を抑える働きがありますが、同時に大腸のぜん動運動も抑制する作用を持っています。
また、プロゲステロンは体内に水分を溜め込もうとするため、大腸で便の水分が通常より多く吸収され、便が硬くなる傾向があります。
妊活中は、このプロゲステロンの影響を受けやすい時期が続くため、腸の動きが鈍化し、便秘になりやすくなるのです。
理由2:ストレスによる自律神経の乱れ
「妊娠できるだろうか」といった不安やプレッシャーは、妊活中に大きな精神的ストレスとなることがあります。
腸の働きは自律神経によってコントロールされており、ストレスを感じると体を緊張させる交感神経が優位になります。
交感神経が活発になると、腸のぜん動運動が抑制され、便をスムーズに送り出す働きが弱まります。
その結果、便秘(けいれん性便秘)を引き起こすことがあります。
心身をリラックスさせ、副交感神経を優位にすることが、腸の正常な機能を取り戻すために重要です。
理由3:子宮が腸を圧迫するため
子宮は直腸の前に位置しているため、子宮が大きくなると背中側にある腸を物理的に圧迫し、便の通りを妨げることがあります。
例えば、子宮筋腫や子宮内膜症といった婦人科系の疾患によって子宮が通常より大きくなっている場合、それが便秘の一因となる可能性があります。
また、妊娠が成立すると、赤ちゃんの成長と共に子宮が大きくなり、同様に腸が圧迫されて便秘を引き起こします。
妊活中に下腹部痛を伴う頑固な便秘がある場合は、婦人科系の疾患が隠れていないか確認することも大切です。
妊活中の便秘薬は飲んでもいい?市販薬を選ぶ際の注意点
つらい便秘を解消するために薬の使用を考えたとき、妊活中はその選択に慎重さが求められます。
市販されている便秘薬には様々な種類があり、中には妊娠の可能性がある時期には服用を避けるべき成分も含まれています。
自己判断で服用するのではなく、薬の種類と特徴を理解し、体に与える影響を考慮することが不可欠です。
ここでは、妊活中に便秘薬を選ぶ際の具体的な注意点を解説します。
妊活中でも服用しやすいのは「酸化マグネシウム」の便秘薬
妊活中や妊娠中でも比較的安全に使いやすいとされるのが、酸化マグネシウムを主成分とする便秘薬です。
この薬は、腸を直接刺激するのではなく、腸内の水分を集めて便を柔らかくし、カサを増すことで自然な排便を促す非刺激性の緩下剤です。
有効成分である酸化マグネシウムは体内にほとんど吸収されず、習慣性も少ないため、産婦人科でも頻繁に処方されます。
ただし、腎機能に障害がある方や、他の薬剤を服用中の方は使用に注意が必要な場合もあるため、事前に医師や薬剤師へ相談することが重要です。
刺激性の下剤は子宮収縮のリスクがあるため避ける
市販の便秘薬の多くは、大腸の粘膜を直接刺激して強制的にぜん動運動を引き起こす「刺激性下剤」に分類されます。
センナ、ダイオウ、ビサコジルといった成分がこれにあたります。
これらの便秘薬は即効性がある一方で、連用すると腸が刺激に慣れてしまい、自力で排便する力が弱まる可能性があります。
特に注意したいのは、強い腸への刺激が子宮の収縮を誘発するリスクが指摘されている点です。
妊活中や妊娠の可能性がある時期は、こうしたリスクを避けるため、刺激性下剤の使用は控えるべきです。
漢方薬で体質改善を目指す方法もある
便秘の解消には、対症療法だけでなく、体質から改善を目指す漢方という選択肢もあります。
漢方では、その人の体質や便秘の状態に合わせて処方が選ばれます。
例えば、ストレスによる気の滞りが原因であれば気の巡りを良くするものを、血行不良や体の冷えが背景にある場合は体を温め血の巡りを促す漢方が用いられます。
便秘の改善だけでなく、冷えや月経不順といった妊活中の悩み全般をケアできる可能性もあります。
ただし、漢方薬にも副作用のリスクや体質との相性があるため、自己判断での服用は避け、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してください。
薬の服用前には必ず医師や薬剤師に相談する
妊活中は、市販の便秘薬であっても安易に使用するべきではありません。
妊娠している可能性を常に考慮し、体に影響を与える可能性のあるものは慎重に判断する必要があります。
安全性が高いとされている種類の薬であっても、個人の体質や健康状態によっては適さない場合もあります。
どのような便秘薬を使用するにせよ、まずはかかりつけの産婦人科医や薬剤師に「妊活中であること」を明確に伝え、服用しても問題ないか必ず確認してください。
専門家のアドバイスに従うことが、安心して便秘対策を行うための最も確実な方法です。
今日から始められる!薬に頼らず便秘を改善する5つのセルフケア
妊活中の便秘は、できる限り薬に頼らず、日々の生活習慣を見直すことで改善を目指したいものです。
食事の内容や水分補給の方法、適度な運動を取り入れることで、腸内環境は少しずつ整っていきます。
こうした地道なセルフケアが、乱れがちな排便のリズムを取り戻す鍵となります。
ここでは、今日からでも気軽に始められる5つの具体的な改善策を紹介します。
【食事編】2種類の食物繊維をバランスよく摂取する
便秘解消に効果的な食物繊維には、水に溶ける「水溶性」と水に溶けない「不溶性」の2種類があります。
水溶性食物繊維は便を柔らかくする働きがあり、海藻類、こんにゃく、りんご、ももなどに多く含まれています。
一方、不溶性食物繊維は便のカサを増やして腸を刺激し、ごぼう、きのこ類、豆類などに豊富です。
この2種類を「水溶性1:不溶性2」のバランスで摂取するのが理想とされています。
片方だけを偏って摂るとかえって便秘が悪化することもあるため、両方を意識して食事に取り入れることが大切です。
【水分補給編】1日1.5L〜2Lを目安にこまめに水を飲む
便の大部分は水分でできているため、体内の水分が不足すると、便が硬くなり排出しにくくなります。
特に食物繊維を多く摂った際は、十分な水分がないと便が硬くなる原因にもなるため、意識的な水分補給が欠かせません。
1日に1.5リットルから2リットルを目安に、一度にがぶ飲みするのではなく、コップ1杯程度をこまめに飲むように心がけます。
特に朝起きてすぐにコップ1杯の水を飲むと、眠っていた腸が刺激されて動き出し、便意を促す効果が期待できます。
【運動編】ウォーキングなど軽い運動で腸の動きを活発に
運動不足は、便を押し出すために必要な腹筋の衰えや、腸のぜん動運動の低下につながります。
ウォーキングやストレッチ、ヨガといった軽めの運動を日常生活に取り入れることで、全身の血行が良くなり、腸の動きが活発になります。
特に、ウォーキングは腹筋を適度に使い、腸に心地よい刺激を与えます。
また、腰をひねるようなストレッチは、直接的に腸の動きを促すのに効果的です。
無理のない範囲で、毎日少しずつでも体を動かす習慣をつけることが便秘改善につながります。
【生活習慣編】決まった時間にトイレに行く習慣をつける
毎日同じ時間にトイレに行く習慣をつけることで、体に排便のリズムを覚えさせることができます。
最も便意を感じやすいのは、朝食後に胃腸が活発に動き出す「胃・結腸反射」が起こるタイミングです。
たとえ便意がなくても、朝食後にはトイレに座る時間を5分ほど確保してみるのがおすすめです。
その際は、焦らずリラックスし、スマートフォンなどは持ち込まずに排便に集中できる環境を整えましょう。
この習慣を継続することで、自然な便意が起こりやすくなり、リズムが整ってきます。
【リラックス編】お腹のマッサージやツボ押しで腸を刺激する
お腹を外から優しくマッサージすることは、腸の動きをサポートするのに有効な方法です。
仰向けに寝て両膝を軽く立て、リラックスした状態で行います。
おへそを中心に、時計回りに「の」の字を描くように、手のひらでゆっくりと圧をかけながらマッサージしましょう。
これは大腸の走行に沿っているため、便の移動を促す効果が期待できます。
また、おへそから指4本分外側にある「天枢(てんすう)」という便秘に効くツボを、息を吐きながら心地よい強さで押すのもおすすめです。
まとめ
妊活中の便秘は、直接的な不妊の原因ではありませんが、腸内環境の悪化が血流を介して卵子の質や子宮環境に間接的な影響を及ぼす可能性は否定できません。
プロゲステロンの影響やストレスにより便秘になりやすい時期だからこそ、セルフケアが重要です。
まずは食事、水分、運動といった生活習慣を見直すことから始め、自然な排便リズムを取り戻しましょう。
薬を使用する場合は、必ず医師や薬剤師に妊活中であることを伝えて相談してください。
腸内環境を整えることは、妊娠しやすい体づくりの基礎であり、妊活を成功させるための大切な一歩となります。
明生鍼灸院が選ばれる理由 — 7,000組以上の実績と科学的根拠に基づいた不妊治療
1.圧倒的な実績
明生鍼灸院が多くの方に選ばれている理由は、30年以上にわたる臨床経験と、7,000組以上の妊娠・出産実績に裏打ちされた確かな知見にあります。妊活中の便秘に代表されるような体調不良は、単なる症状としてではなく、血流や自律神経、ホルモンバランスなど全身の状態と密接に関わっています。当院では、こうした体のつながりを重視し、一人ひとりの状態に合わせた体づくりを提案しています。
2.専門クリニックとの密な連携
不妊治療専門の「俵 IVF クリニック」と密に連携し、婦人科での診断や治療方針を踏まえた鍼灸施術を行っています。ストレスが自律神経や内分泌系に影響を及ぼすことを考慮し、西洋医学の知見と東洋医学的アプローチを組み合わせた、安心・安全なサポート体制を整えています。
3.「100を超える発表」を行う研究活動
日本生殖医学会などで100を超える学会発表を行い、常にエビデンスに基づく治療の研鑽を重ねています。妊活中の不調を根本から整え、妊娠しやすい体づくりを支える体制が、明生鍼灸院が選ばれ続ける理由です。









