妊活の豆知識

東洋医学の観点から見る妊活とは?不妊の原因や腎・肝の働きなどを解説

東洋医学の観点から見る妊活とは?不妊の原因や腎・肝の働きなどを解説|明生鍼灸院

東洋医学と西洋医学を比較すると、東洋医学は体の内部からアプローチするのに対し、西洋医学は薬などの外的要因でアプローチするのが大きな違いです。どちらが良いとは一概には言えませんが、東洋医学と西洋医学の特徴を抑えておくことはおすすめです。

妊活中は、自然妊娠を望まれている方は特に、体のどこに不妊の原因があるのかを知りたい方も多いでしょう。今回は、東洋医学の観点から、妊活のヒントになる不妊の原因などをご紹介します。

東洋医学の観点から見る妊活とは

東洋医学の観点から見る妊活とは?不妊の原因や腎・肝の働きなどを解説|明生鍼灸院

現代医学では、西洋医学がメインとなっており、薬によって外的要因を取り除くことが多いです。一方、東洋医学では、自分自身が持っている体の回復力などを引き出すことを目的としています。そのため、東洋医学では、現代医学とは違い「肝」「脾」「腎」が密接に関係しています。後述しますが、不妊の原因も東洋医学と西洋医学とでは違うケースも多いです。

東洋医学と西洋医学はどこが違う?

上記でも説明したように、東洋医学では自分自身が持っている治癒力を高めるのを目的とします。西洋医学では薬によって対処しますが、東洋医学では外からではなく内側から回復を促すのが大きな違いです。また、東洋医学では、「気(エネルギー)」「血(血液)」「水(体液)」の3つをベースとして考えるため、パワーバランスを均一に整え、体調不良になりにくい体作りをベースとしているのも大きな違いでしょう。

もちろん、東洋医学と西洋医学のどちらが正しいとは言えません。ただ、そもそもの考え方が違うため、妊活も東洋医学と西洋医学では、どこに原因があるかのアプローチ方法も違います。以下に、東洋医学の観点から見る不妊の原因を探っていきましょう。

東洋医学から考える不妊の原因

東洋医学の観点から見る妊活とは?不妊の原因や腎・肝の働きなどを解説|明生鍼灸院

中国の古典を見てみると、腎や肝に対する記載が見られ、特に肝については、「肝は血を蔵し」と言われるように、子宮の血流に大きく関係すると言われています。筋肉や目の異常にも肝が関連していると言われ、この肝は感情の起伏も影響される部分です。東洋医学の観点から考えると、不妊の原因は以下の6つが関係していると言えます。

原因①:瘀血(おけつ)

瘀血(おけつ)とは、例えば、血液がどろどろになったり、血流が悪くなったりする状態を指します。瘀血を車に例えると、エネルギーであるガソリンが汚れているのと同じ状態です。新車でも古くて汚れたガソリンを使えば調子が悪くなります。

同じように、人間の体も血液の状態が良くないと、生殖器官の調子が悪くなる=妊娠力が低下してしまいます。そのため、普段から生理痛で悩んでいる方は、瘀血体質になっている可能性が高いです。

原因②:血虚(けっきょ)

血虚(けっきょ)とは、簡単に言ってしまえば栄養が不足している状態を指します。こちらも車に例えると、ガソリンがない状態=ガス欠の状態です。ガソリンがなければ車は動きませんが、人間の体も栄養が足りなければしっかりと働けません。普段から血虚体質の方は、そもそもの栄養が足りていないため、生殖器官もうまく働けず、妊娠力も落ちます。

原因③:腎虚(じんきょ)

腎虚(じんきょ)とは、生命力自体が弱っている状態を指します。年配の男性も女性もこの腎虚体質であることが多く、新しい生命を作り出す=妊娠する力が無い状態です。そのため、若いうちでも腎虚体質になっている方は、不妊にもなりやすいと言えます。もし流産を何度も繰り返している方は、腎虚体質である可能性が高く、子供ができにくい状態かもしれません。

原因④:冷え

冷えとは、主に下半身や手足の末端が冷え切っている状態です。妊活中には冷えを避けるべきと言われますが、理由は「冷え」自体が、血流を悪くする原因だからです。冷えが常態化すると、血液も生命維持に必要な臓器が優先され、生殖器官は後回しにされます。血液は栄養を運ぶ目的があるため、生殖器官(子宮や卵巣など)に血液が行き渡らなければ、正常に機能も働かなくなります。

結果、子宮や卵巣が冷えることで、妊娠率も下がり、ますます妊娠しづらい体になる可能性大です。また、冷えが原因で妊娠力が下がるのは、冬だけとは限りません。夏場もクーラーの使い過ぎなどで冷えが起こる可能性は十分にあり、普段から気をつけたい要素でもあります。そのため、妊活中で、かつ自然妊娠を望んでいる方は、まず冷えの対策から始めてみてください。

原因⑤:肝鬱(かんうつ)

肝鬱(かんうつ)とは、ストレスが高くなり、体に強い憤りを感じている状態です。妊活をしながら働いている女性に多いタイプで、仕事で生じたストレスが体にも直接影響している状態と言えます。肝鬱体質になっている場合は、まず肝の経絡を主体として、気の流れを整える必要があります。

経絡上の気が高ぶっている状態とも言えるため、ストレスを抑える=リラックスさせる施術として、鍼灸が有効です。

原因⑥:痰湿(たんしつ)

痰湿(たんしつ)とは、足がむくんだり、強い冷えに悩まされていたり、お腹の調子が悪くなっている状態です。体の中の水分がうまく循環せず、血流が悪くなる、滞るなどの問題が発生する状態を痰湿と呼んでいます。

痰湿の状態になると、内臓が弱るケースもあるため、他の症状との併発の恐れがあるなど、早期に解決する必要があります。冷えとも似ているため、鍼灸で内部から体を温める施術も取り入れてみるのがおすすめです。

東洋医学的な体質の違い

東洋医学の観点から見る妊活とは?不妊の原因や腎・肝の働きなどを解説|明生鍼灸院

東洋医学的な観点から見てみると、「肝」の働きを強くすれば、自分の生命を維持する力、また、新しい生命を生み出す力をUPさせられるとも言われています。そのため、妊活中にはまず「肝」の働きを強くすることが求められます。

特に、自然妊娠を望まれている方は、東洋医学の肝はもちろん、他の臓器の働きを理解することで、妊娠率も上げることができるでしょう。以下に、東洋医学的な体質の違いなどをご紹介します。

五臓の「腎」とは

五臓でいう所の「腎」とは、泌尿器系の臓器として、水分代謝に大きく関わる部分です。また、水分代謝だけでなく、妊娠や出産などの「生命エネルギーを貯蔵し、成長や生殖能力を支える働き」も担っています。

東洋医学では、人の生命の源は「先天の精(生まれた時に持っているエネルギー)」と「後天の精(飲食物や呼吸から取り込むエネルギー」の2つに大きく分けられます。この2種類の精が妊娠には必要と言われており、腎もそれを助ける役割を持つ部分です。

人は先天の精を消費しながら、生殖能力も育んでいきます。一方、後天の精は年齢と共に減少しますが、先天の精を補助する役割があるため大切な要素です。つまり、先天の精を貯めながら、生命活動に生かしているのが腎の主な働きです。そのため、「腎」の機能が低下すると、生命の元となる2つの精が減っていき、生殖機能の低下や老化などを招きます。

東洋医学では、7歳ごとに「7歳・14歳・21歳・28歳・35歳・42歳・49歳」で、妊娠能力を腎気として表すことが多いです。

ただ、腎気は、男性は32歳、女性は35歳を過ぎると、段々と減ってしまいます。腎が衰えれば、生殖機能も弱ってしまうため、後述する肝と同様に重要視される部分でもあります。

五臓の「肺」とは

西洋医学では、肺と言えば、呼吸機能に関わる臓器を指します。一方で、東洋医学では「肺」は、呼吸機能だけにとどまらず、水分代謝や免疫機能、血液循環にも大きく影響する部分とされます。呼吸を通じて取り込まれる「息」、食事を通じて取り込まれる「飲食物」が合わさることで「気(東洋医学でいうエネルギー)」が生まれるため、肺も重要視される部分です。

肺の気が弱まると、免疫力の低下や血流が悪くなるなど問題も発生し、肺が原因で不妊になる可能性も高いです。特に、排卵期は卵子が卵巣の壁を破って排卵するために、エネルギーが必要な時期でもあります。肺の働きがうまくいっていれば、エネルギーも十分となり、妊娠しやすくなります。「気」のパワーを生み出す肺の働きは、東洋医学でも重視されており、特に妊活中は、気を充実させることも視野に入れておきましょう。

五臓の「脾」とは

西洋医学では、脾臓は、血液の掃除の役割を持つとされますが、東洋医学では「消化器全般の働き」を担う部分です。簡単に言えば、脾とは、飲食物から上記でも説明した、気や血、水を作り出し、栄養を全身に巡らせる働きがある器官です。江戸時代から使われている「血の道」という言葉がありますが、「血の道症」とは月経、妊娠、出産、産後など、女性特有のホルモン変化によって起こる症状を指します。

「脾」には血の道を安定させる働きがあるため、機能が低下してしまうと、消化機能も低下してしまいます。結果、上記でも説明した後天の精(飲食から取り込むエネルギー)が取り込めなくなり、かつ先天の精(生まれ持ったエネルギー)の消費が多くなり、生殖機能も弱まるという仕組みです。脾を強くするということは、生殖機能の働きをアップすることでもあるため、東洋医学では脾も妊娠に深く関わってきます。

五臓の「心」とは

西洋医学では、「心臓」には血液を送り出すポンプの働きがあります。一方、東洋医学では、脳の働きを含めて「心」と呼んでおり、精神活動の司令塔とも呼べる存在です。東洋医学では、精神活動は「神(シン)」とも呼ばれており、神は人間の生命活動の中枢を担っている部分です。

「神」が不安定な状態では、循環機能、排泄や消化吸収なども働かなくなり、生体機能も健全に維持されません。そのため、妊活中は心と体の安定が大切とも言われ、妊娠できる体作りにも欠かせない要素でもあります。

五臓の「肝」とは

肝は、西洋医学では肝臓を指し、体の中で最大の臓器とも言われ、生命活動維持に大きな役割を果たす臓器です。ただ、西洋医学の「肝臓」と東洋医学の「肝」では少し捉え方が違います。具体的には、東洋医学では臓器の実体ではなく、臓器の働きや役割を重視して「肝」と呼んでいます。「肝」は体の状態を常に把握しつつ、気、血、水が身体を滞りなく流れるようにコントロールする重要な部分です。

「肝」がうまく機能しなければ、身体の気、血、水の流れも滞るため、血流にも影響します。また、肝がうまく働かないと、情緒不安定になったり、めまいや生理痛が出やすくなったりなどの問題も出ます。中には、腎よりも肝のほうが重視されることもあり、妊活中には、上記で説明した腎はもちろん、肝の働きを良くする必要もあるでしょう。

特に、妊活中は不妊治療でストレスが溜まり、自然妊娠を望まれている方もストレスが溜まりやすくなっている状態です。そのため、肝を整えることで、精神的にも安定し、血流の流れも良くなるなど、妊娠率を上げるためには非常に重要な要素と言えます。

鍼灸でアプローチ

東洋医学の観点から見る妊活とは?不妊の原因や腎・肝の働きなどを解説|明生鍼灸院

子宮内膜症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣(PCO)などに不妊症の原因がある場合、「瘀血」が作られる状況が多くなるため、子宮や卵巣の働きが悪くなることがあります。上記でも説明しましたが、東洋医学では、内膜症や筋腫などの疾病は、瘀血(おけつ)による症状と捉えて治療を行うことも多いです。

明生鍼灸院では、これらの症状に対して、鍼灸でアプローチを行います。施術では、鍼灸治療を併用して血流を増加させ、妊娠しやすい環境に促すことも可能です。そのため、東洋医学の観点から見ても、鍼灸の施術は、不妊治療に有効な手段とされます。

まとめ

東洋医学の観点と西洋医学の観点では、そもそもの捉え方が違います。どちらが良いとは一概に言えませんが、体が本来持っている役割を引き出すという意味では、副作用の心配が少ないのは東洋医学のほうでしょう。東洋医学では、腎、肺、脾、心、肝の観点から、特に肝が重要視されます。

そして、肝の働きをアップさせるためには、健康体であることも重要です。鍼灸などの施術は、東洋医学の観点からアプローチしますが、妊娠力を高めるためにも、まずは体の内側から健康体を作るようにしてみてください。

▼明生鍼灸院の予約はこちらから

https://www4.revn.jp/meiseiacp/

▼明生鍼灸院のInstagramでも発信中!

https://www.instagram.com/meiseiacp/

関連記事